私の実家からほど近くにあるアルミメーカー「アカオアルミ」。
非常に質の高い多様な加工技術を有していて、一円玉の原型、鍋や弁当箱といったアルミに関するあらゆる製品を製造しているメーカーである。
地元の人向けにセールなんかもやってくれて、高品質のキッチン製品がお手頃価格で購入できるとあって、その時は長蛇の列。子供連れで行くと、くじ引きやゲームで楽しませてくれたりして近所の家族連れで賑わう。我が家も例にもれず、雪平鍋やキッチンバット、おろし金など日々お世話になっている。
そのアカオアルミに先週、小学3年生の娘が社会科見学で訪れたという。私自身も小学生の頃同じように工場見学に行ったっけ。
前置きが長くなったが、その社会科見学で娘がお土産をもらってきた。
「アイス専用スプーン」
手に持ってみるとわかるのだが、それはふわりと軽く、絶妙なカーブ面とマットな表面仕上げのお陰か、金属なのにとても優しい手触り。
【 一緒に入っていた説明書より 】
・口当たりはやわらか。
・あなたの手のぬくもりがアイスに伝わりスプーンがスッと入っていく。
後者の文句に注目してほしい。
アルミ素材の特長といえば、熱伝導率が高く(鉄の3倍)、軽く(鉄や銅の3分の1)、腐食しにくい。
他にも加工性や再生性の高さなど、優れた特長がたくさんあるのだが、特に熱の伝わりの早さを考えた時、このアイススプーンがアルミ製であることの意味が理解できる。
冷凍庫から出したばかりのアイスは固い。
木製のアイススプーンも好きなんだけど、冷えッ冷えのアイスは固くて中々うまくすくえない。このアルミスプーンで食べてみるとあら不思議、カチカチアイスにスプーンがスッと入ってストレスなく冷えッ冷えアイスにありつける。
もうお分かりだと思うが、自分の手の熱がスプーンに伝わり、スプーンに触れた部分のアイスを優しく溶かすのだ。スプーンに触れた部分しか溶けないから、アイスは冷えッ冷えのままいただけるというわけ。
つまりこの小さなアイススプーン、アルミの特長を見事に生かした中々の優れものなのだ。
私の育った東京の端っこの町が誇る、老舗のアルミメーカーのお話でした。