建築士事務所は5年に1度、事務所登録の更新をするのですが、今年で事務所を構えてちょうど5年が経つということで、先日はじめて更新をしてきました。独立してからあっという間の5年間でしたが、振り返ってみると、お施主さんを始め沢山の良い出会いに恵まれて、ここまでやってくることができました。本当に感謝しています。また、徐々にですが自分らしいデザインや仕事へのスタイルが見えてきた気がします。次の5年はさらに充実した時間となるように、ひとつひとつの仕事を丁寧に手掛けながら、また新しい出会いを大切にしながら日々精進していきたいと存じます。皆様、今後とも引き続きどうぞよろしくお願いいたします。
独立と同時に生まれた息子はもう5歳。あんなに小さかった子が今ではたくさんのお友達ができ、大好きな仮面ライダーごっこやサッカーをしながら毎日伸び伸び成長しています。来年はもう小学生! 私も彼に負けないくらいもっともっと成長していかなければ・・。
所内の植物に新芽が芽吹きました。
例年はもっと早く芽吹いていたのですが今年は遅く、もう咲かないのかな、、、と心配していたところ非常事態宣言が解除された翌日、一斉に芽吹きだしました。
偶然とは思えないこのシンクロニシティなタイミングに、昔ある人から聞いた「植物は人の気持ちに同調するんだよ」という言葉を思い出しました。解除から数日が経ち少しづつ葉を広げている姿は、まるでゆっくり日常を取り戻している私たち人間の分身の様で、同調というよりもなんだか共鳴しているかのようです。
私たちもこの植物のように1日でも早く、大きな葉を広げられるようになることを願うばかりです。
かれこれ20年ほど前。私がまだ大学生だった頃にダイニングレストラン「茶々 南青山」と出会いました。「自分もいつかこんなお店をデザインしたい!」と強く思い、大学卒業後はお店をデザインした辻村久信さんの事務所に入所し、8年間インテリアデザインを学びました。自分にとって「茶々 南青山」との出会いは人生のターニングポイントでありました。
そんな「茶々 南青山」も時代の波に呑まれ(ビルの再開発の影響で)、残念ながら閉店となってしまいました。。。商業デザインは時代の流行にピントを合わせて頻繁に改装することが多い中、20年以上も同じスタイルでお店を続けてこられたことはとても素晴らしいことであり、辻村さんのデザインがいつの時代でも受け入れられる普遍的なデザインであったということでもあると思います。自分もそんな「力のあるデザイン」をもっと生み出していかなければ、と改めて気づかされた出来事でした。
営業当時の写真です。
京都五条の鴨川沿いにあるカフェ「efish」もこの秋で閉店するのだとか。。。こちらも今年で20周年。辻村事務所時代には良くお世話になりました。本当に残念です。。。
荻窪駅からすぐ近くのマンションでリノベーションの計画が始まり、先週末キックオフミーティングを行いました。奥様との何気ない会話の中から、実は共通の知人が何人もいたり、時期は違えど同じ空間に身を置いていたことがあったり、そんなお互いの共通項がたくさん見つかり(まだまだ他にもありそうですが・・)、勝手ながら親近感やご縁を感じずにはいられませんでした。現在進行している南青山のクライアントや友人の家具作家さんとも同じようなことがありましたが、この「共通項」というのはとても大切なものだと最近強く感じています。これまで歩んできた40年の人生の中で、出会った人や見てきた風景は限られていますが、そんな中でも繋がりがあるというのは貴重なことだと思います。こうした人の繋がりに感謝し、これからも丁寧にプロジェクトを進めて行きたいと思います。
石膏ボードが張られると、昔のことをふと思い出します。
小学2年生の頃、実家を新築したとき母親に付き添って工事途中の現場へよく通っていました。上棟してからしばらくの間は、部屋の大きさや佇まいはなかなか想像することができなかったけれど、石膏ボードが張られるとたちまち家の姿に変貌して、とてもワクワクしたことを今でもよく覚えています。石膏独特の匂いと木造の香りとが混ざり合った現場は、記憶をより鮮明なものにしてくれます。
今月はセミナー三昧でした。ビックサイトで行われた山田憲明さんの「今すぐ使える!超実践的木構造」や前職代表の関本竜太さんの「金属防水が可能にする持続可能な木造の美しい外廻り」。他にも、月一回通っている住宅医での辻充孝先生による省エネ講座など、そのまま実践で使える貴重なお話を沢山聞くことができました。その中で特に印象深かったのは、新宿デザインセンターOZONEで開催された「未来住宅談義 新しい価値を創出するリノベーション」というセミナーで、建築家・工務店・不動産関係者・編集者のそれぞれの立場から今後の住宅産業について、リノベーションや省エネルギーの観点から考えていくというものでした。既に始まっている人口減少や少子高齢化、空家問題などによって今後の住宅産業はますます危機的状況に陥ることは明確です。その中で我々のような設計者がどう立ち向かっていくのか、自分自身悶々としていましたが、今回のセミナーでそのヒントとなるキーワードを幾つか見つけることができました。今すぐ答えがでるものではありませんが、自分のこれからの活動にとってとても大切なテーマになっていくのではないかと思っています。
それにしても30代の大工さんの数が全国で2万人ほど、10代にいたっては2千人程度だそうです。。。作りたくても作れない。そんな時代がすぐそこまで来ています。
先日、知人が担当する鉄骨造(個人住宅)の工事現場を拝見させてもらいました。鉄骨造の現場は初めてだったということもあり、現場に漂う匂いと作業音が木造と鉄骨造ではまったく異なることに少々驚きと違和感を感じました。木造は木を削り出す心地よい音と木屑の良い香りで満たされますが、鉄骨造は鉄をカットする甲高い音とその焦げた匂いが辺りに充満していました。どちらが良い悪いではないのですが、個人的にはやはり木造の現場が落ち着きます。しかし、鉄骨独特の重厚感やダイナミックな開放感は木造では作り出すことが難しいということも今回の経験で感じ取ることができました。
小屋裏(寄棟)の様子
「家族を守るためにがんばっているんだ。」 曇りのない真っ直ぐな瞳だった。純粋でストレートな気持ちに私は心を打たれ、初対面ながら涙したことを今でも憶えています。人生は時に残酷で不条理なことが起こる。一人の力ではどうすることもできないことがある。それでも一生懸命に立ち向かっていた姿を私は決して忘れません。そして願うのは、決して諦めないで欲しいということです。
先日、久しぶりに学生時代の友人から連絡をもらい数年ぶりに会うことに。
お互い美術大学を卒業して独立をし、腹を割って話せる数少ない友人の一人で、そんな彼から「所有している古いアパート1棟をどうにかしたい」という何ともざっくりとした(笑)相談を受けました。そして、近々婚約されるとのこと。(おめでとう!)それを聞いて、「是非建て替えをして新しい生活の場にすべきでは。」と即答しました。
『住まいを考えること』は『これからの人生をどう生きるか考えること』 と同じであると思います。今回のことは彼にとって、ひとつの住まいについて考えることと同時に、これからのパートナーとの生き方をじっくり時間をかけて考えるための大事な機会になるのではないでしょうか。
建て替えをするために は様々な条件をクリアする必要がありますが、友人のこれからの人生の歩みに少しでも力になることができればこんなに幸せなことはありません。
本家である祖母の家。祖母が亡くなってからずっと空き家のままでした。そして諸事情によりこの度取り壊しすることとなり、最期のお別れに長女を連れ訪問してきました。戦後間もない頃に建てられ、庭に面した心地よい縁側や薪風呂、薄暗い奥座敷、汲み取り便所など現代ではなかなか目にすることのないものが沢山残っていました。私も幼少期に1年間だけこの家で過ごしたことがあり、当時の記憶は今でも鮮明に残っています。そして、今の制作活動の根底には当時の記憶が大きく影響していると思っています。長女にも少しでも感じてもらいたいと思い連れていきましたが、(トトロの)メイちゃんの家みたい!と、彼女にはまるでジブリの森に遊びにきたような楽しい記憶として残ったようです笑。
↓ 片付けの最中に偶然見つけた写真。
これから解体されるこの古屋の上棟時の貴重な写真でした。建物は取り壊されてしまいますが、住み手達の記憶はこの土地にずっと残っていくことでしょう。