アンテノール / 銀座三越(本館)
わたや平沢店/ 新潟県小千谷市
創業100周年を迎える老舗へぎそば屋「わたや」のリニューアル計画です。既存を一部利用しながら新たにベンチ席を設け、待合いスペースやレジ廻りの物販スペースの拡張を行いました。待合いスペースに新設した格子パーテーションには織物の町である小千谷で制作された麻織生地をガラスに挟み込み、程よい透け具合により店内と待合いを緩く繋いでいます。また、新設したベンチ席の背面壁には、わたやさんの紋である「光琳蔦」を施した特注の江戸からかみをアクセントにしつらえました。
地域に根付くお店として、地元の方はもとより多くの観光客にも愛され続けるわたやさん。その土地を大切にするわたやさんの内装に地域の伝統である織物を現代の技術を使って落とし込むことで、先人への敬意と次の100年へつなぐ橋渡しになると思っています。
Office YDA / 板橋区
自社事務所のリノベーション計画です。
限られた予算の中で効率よくリノベーションするためには、コストをかける所と抑える所のメリハリをつけることが最も大切なことの1つですが、コストを抑える所、つまり既存を生かせるかどうかの判断がとても重要になります。また、レイアウトがしやすい区画かどうかもコストに影響してきます。
今回は既存の内装や設備の状態が良かったことと、玄関の位置がコストを抑えるポイントとなりました。
具体的には、今回の物件は、玄関の位置が区画の真ん中にあったため、玄関スペースを境に接客スペースと事務スペースを明確に分けることができ、玄関と接客スペースだけにコストをかけることで費用バランスを図っています(その他は既存のまま)。 水廻りや事務スペースはお客さんにはあまり見られたくない場所ですが、接客スペースから見えない位置にうまくレイアウトできるような区画であれば、コストを最小限に抑えることができるということです。また、事務スペースはデスクや本棚、コピー機など機能上必要なものが壁際に多く置かれ、内装の大半は隠れてしまうこともあり内装にコストをかけるよりも什器類に予算をかけた方が効率が良いです。
他にも様々な工夫や、業者さん・メーカーさんのバックアップ、友人たちの協力や自分たちで出来ることはやるなどで費用を抑え、当初の予算以下に抑えながらイメージに近い空間を実現することができました。
箱テラスの家 / 小岩 (戸建リノベーション)
東京の下町、小岩の住宅地にある木造3階建住宅の改修計画です。築30年ほどのこの住宅は1階を親世帯、2・3階を子世帯が2世帯住宅として使用していましたが、親世帯であるご両親がお亡くなりになった関係で改修することになりました。当初は建て替え案もでていたそうですが、愛着あるこの家を改修して、終の棲家にすることとなりました。また、奥様が北欧雑貨の輸入販売を行っている関係で、毎年外国からゲストが長期間訪れるため、1階をゲストハウスとしても活用できるようにという要望がありました。
外壁や屋根の再塗装、室内のフローリング張替えや壁の再塗装といった基本的な改修工事を行いつつ、庭の一部には外と内の中間領域となるテラス空間を新設しました。既存の建物に”コの字型のハコ”を貫通させたようなこの空間は構造・仕上げともに木材を使用し、ご主人こだわりのブルーグレー色の保護塗料を塗布しました。ご主人が生れ育ったこの地域は所謂下町の密集住宅地で近隣同士の付き合いが深く、施主はもちろんのこと訪れた外国ゲスト達がテラスと庭を介して近隣住民とのコミュニケーションを育める場となることを期待しています。